麻とヴェルヴェット
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マリア・グラツィア・キウリのディオールの、オートクチュールコレクション。
シュ―ルレアリストのレオノール・フィニがテーマだというのはわかったし、 端正で、さすがの美しさなんだけれども、 なぜ黒と白ばっかりなのだろうかと、レオノール・フィニって、 別に黒と白だけのアートストでないのになと思っていたら、 理由がわかりました。 はい、質問です。 オートクチュールの顧客は誰ですか? その人たちはいつこのドレスを着るのですか? そうです! アカデミー賞です! 今注文して間に合うんですね! 今年は女優たちが黒いドレスで登場です!お見逃しなく。 そんなわけで、ディオールとシャネルです。 シャネルの伝記を読んでいたら、 シャネルはディオールとスキャパレリをことさらけなしていたということがわかりました。 ディオールのニュールックが発表されたとき、怒っていたそうです。 せっかく自分が、ウエストを絞らず、ジャージーというル―ズな素材を使って 楽な服を作ったのにどうしてくれるんだ!と。 スキャパレリも、アートなんか服に持ち込んで下品だ!と激怒。 つまり、ディオールとシャネルは対決しているのです。 それで、です。 マリア・グラツィア・キウリはディオールのアーカイブを毎回参照し、 新しい解釈をしてから作り直しています。 今回はシュールレアリストということでスキャパレリの名前も出ていました。 そしてもちろん、ドレスのウエストはきっちりありますし、 ジャージーなんか使いません。 実際のところわかりませんが、 もしかして、ヨーロッパではいまだにシャネルの評価のほうが ディオールの評価より高いのかもしれません。 けれども、本当にそうか?と。 そしてスキャパレリも、そんなに最悪で下品なのか?と。 何年か前、「プラダとスキャパレリ」という展覧会がニューヨークでありましたね。 これも同じ。スキャパレリって、悪くないわよということです。 ディオールのアーカイブの焼き直しは、 ガリアーノのときはほとんどなかったと記憶しています。 ラフ・シモンズは最初の2回ぐらいはそうだったけれども、 だんだん遠く離れていきました。 マリアはここで頑張っているわけです。 ディオールとシャネル、 どちらがいいかは、好みによると思います。 ウエストがなくて、楽なジャージーが好みな人はシャネルでしょう。 私はもちろんディオールのほうが好きです。 V&Aで、ニュールックの実物を見たときからそうです! Comments are closed.
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AuthorNaoko Kobayashi Archives
November 2023
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