麻とヴェルヴェット
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以前、「○○さんのお勧めをたくさん買ったのにおしゃれと言われない。
なんででしょう?」というような質問を受けました。 もちろん、日本の女性で褒める人は少ないというのも1つの理由ですが、 もう一つあります。 思いだしてほしいのですが、例えばエルメスやカルティエ。 この雑誌の読者が本当にエルメスやカルティエを買うのかしら? と思うような雑誌に広告が出ていますね。 あれはなぜかというと、 エルメスやカルティエのセンスと価値、そして価格が高いということを 広くこの世に知らしめるためです。 そうすることによって、買わない人たちのあいだにも、 ああエルメスね、カルティエね、すごいのねーという認識が行きわたります。 それがあるから、買った人も、ほかの人に対して、 これはエルメスなの、カルティエなの、とにかくすごいのー、 というふうに見せびらかすことができるようになります。 それがない場合は、それは自己満足。 ですから、他人からそのよさは認識されず、自己満足で構わない人にはいいわけですけれど、 そうではない人には、みんなが知っていない、ということは困るわけです。 前述の「○○さんのお勧め」は、 それを知っているごく小さなコミュニティ以外では知られていない価値です。 そのコミュニティを出てしまったら、 単純に色だとか、素材のクオリティやパターンの問題になります。 もしその○○さんのお勧めが、 実は色、素材、クオリティ、パターンとも大したことがなかったら、 他人にとってはそれは意味がないことになります。 つまり、おしゃれには見えないわけです。 ごく一般の人はファッション誌も見ませんし、 その○○さんも知りません。 話をしても、そういう人がいるんだ、ふうん、ぐらいなものです。 そのときにそれがおしゃれに見えるかどうかは、 そのものの本当の価値によるのです。 おしゃれと言われなかったということは、 コミュニティの外に出たら、別にそれはおしゃれではなかった、ということです。 Comments are closed.
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AuthorNaoko Kobayashi Archives
September 2023
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