麻とヴェルヴェット
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最近、また寒くなり始めて、
野菜があんまり並んでないので、 どうしてか、井上さんに聞いたら、 寒すぎて野菜が育たないのですって。 あと、朝はまだ凍ってるから収穫できないそうで。 なるほどそうであったか。 こんな寒いときは、 家の中でもシルクのスカーフを首にまきます。 これだけで結構暖かい。 シルクのスカーフって、大体皆さん、おもちなんだけれども、 使っていらっしゃらないんですよね。 首にまいたらどうでしょうか。 暖かいです。 トレンチコートも気をつけなければいけないアイテムです。
確かにベーシックなんですが、 トレンドに影響されます。 あれはいつごろでしょうか。 2013年ぐらいだったか。 トレンチコートばかり3枚持っていらっしゃる方がいて、 見た感じ、どれもタイトで、丈も短めでした。 私はシルエットが変化するのがわかっていたので、 あーあ、と思いました。 この3枚全部、今からなんとなく古臭くなるだろうな、と。 一般の人は、いつシルエットが変化するかわからないと思いますが、 2013年というのはもう変化が始まってる年ですので、 それ以降、トレンチコートを買う場合は、 タイトなものを買ってはいけないわけです。 でも、そういうことはわからないから、 タイトなものを買ってしまうのでしょう。 たぶん、今ごろ、なんか変な感じと思っているのではないかと思います。 その他のベーシックと同じように、 後追いブランドのトレンチは要注意です。 シルエットが変にトレンドに影響されていますから。 本物を買うに限ります。 ベーシックこそトレンドに左右されるということがはっきりわかって、
思いだしました。 過去、ファッションレッスンを受けた方で、 なんだか似たようなものをたくさん持っている方達が持っていたものって、 そういえば、ベーシックであるところの ジーンズだったり、シャツだったり、あとカーディガンだったり、 Vネックのセーターだったり、カットソーだったり、 そういうのだったなと。 ベーシックだからいいと思ってたくさん買ってしまったのでしょうか。 たくさんある割にどれも似ている、 たくさんあるのでいつまでたっても捨てるほど傷まない、 トレンドを反映したベーシックなので、古くなるとシルエットが野暮ったい、 そんな感じ。 あとこれも気づいたのですが、 ベーシックを作っているブランドって、 ラルフローレンなんかは別だけれども、 いわゆるナショナルブランドはトレンドを後追いしているから、 ちょっと早めじゃなくて、 微妙に遅めです。 モードばっかり見ている人が、 先へ先へ見ているところを、 ちょっと後からついていくみたいな感じ。 で、そこからベーシックのシャツなんか作るから、 おいおい、今それなの?みたいな感じになって、 買ったそのシーズンはいいけれども、 次には微妙に遅かったシルエットが、もう遅いみたいになってしまうようです。 特に2012年以降は、 シルエット変更の過渡期だったので、 そうなってしまったみたい。 だからいまだに、スキ二―ジーンズに短めの丈のちょっとフィットした ベーシックのシャツなんてものを売っていたりするんですね。 それをベーシックは永遠なんだからいいんだなんて言って買うと、 なんか遅れた感じになるのだと思います。 ベーシックばかり集める人は気を付けたほうがいいです。 ベーシックこそトレンドに左右されると、
確信しました。 ブンカに入ってくるような子たちは、 「ベーシックこそ一番!デザイン性の高い服なんてナンセンス」 なんてことは決して言いません。 デザインを習いにきたんだから、そんなことを言ったら完全なる自己否定。 デザイン画の宿題に毎回、白シャツ、ジーンズばっかり書いていたら、卒業できません。 それはともかく。 ベーシックこそ最高みたいな意見はすごくたくさんあって、 デザイン性の高いものを着ようよ、なんて言う人は少数派。 私は、ベーシックなものだけ着てるなんてことは全然ない。 好んでデザインモノを着ます。 それで検証してみました。 そんなにデザイン性の高いものがトレンドに影響されすぎていて変なのか? ということで、私がよく着ていた90年代中ごろ以降のヘルムート・ラングの 過去の作品を見直してみました。 うんうん、こういうの、着ていたのだわ、と思いながら見入っていたのですけれど、 今見ても格好いいじゃないですか。 そして今でもこれらは着られます。 実際にうちにある90年代の古着も今も格好いいし、問題なく着られます。 では、この時代のベーシック、例えばTシャツとジーンズみたいなスタイルはどうでしょうか? 例としてJ-POPのアーチストの写真を見てみましたけど、 変ですよ。今はあの格好できません。 それより趣味性に走っていたヴィジュアル系のバンドのほうが格好いいです。 そういうのじゃなくても、時代の流行をいつも着ていたマドンナは、 80年代から振り返ってみても、全部格好いいです。 まあ、それは昔の話なので、今はどうかと思っていろいろ見ていたら、 日本のベーシックを作る、メイドインジャパンにこだわったブランドなのかなんなのか、 会社なのか、そんなところを見つけました。 なんだかものすごくすばらしいことがたくさん書いてあります。 早速、レディースの白いシャツを見てみると、 あれ、これって、今売ってるやつなのかな? スキ二ージーンズに妙な丈のシャツです。過去の話なのかと思ったけれども、 どうやら今の商品みたいです。 これ、確かにベーシックだけれども、シルエットめちゃくちゃ古い・・・ スキ二―ジーンズにちょっと短い丈のシャツをあわせるあの感じ。 次はブラウスを見ました。 あれ、これはいつの話なのかしら?今どきこんな人はいるの? というブラウスとスカートです。 平成生まれに見せたら「昭和のOLみたい」と言っていました。 昭和って、30年以上も前ではないですか。 ちなみにトップページにあったVネックのニットも、 シルエットが古臭く、どこかの制服みたいな感じでした。 ベーシック恐るべし。 ベーシックこそトレンドに非常に左右されるので、 そればかりで揃えたら、しょっちゅう買いかえが必要になります。 逆に服飾博物館で展示されるようなデザイン性の高い服は、 いつ見てもすたれないので、いつまでも着られます。 私がたくさん買う必要性を感じないのもこのせいかもしれません。 あと1週間ぐらいで立春でしょうか。
そろそろ冬物に飽きてきました。 ただ、今週すごく寒いので、冬物をやめるわけにはいきません。 コートは仕方ないとして、 中身ぐらいは明るい色を着たいものです。 あと、今年の秋冬は重いセーターを着ていたので、 だんだん重いセーターに疲れてきました。 11月ぐらいから着ていたでしょうか。 3カ月でもうだめです。 ただ、家の中で着る用の軽いセーターがなくて、 しょうがないから、庭作業用のグリーンのフリースを家の中で着ています。 外出用のセーターを家の作業用に着てしまうと、 毛玉になってしまうので。 ところで、時々、どういうニットは毛玉が出ないのか聞かれるのですが、 私はニット科出身じゃないので、ニットは詳しくないのでよくわかりません。 ニットのデザインと、布のデザインって、 全然違うので、両方はやらないのです。 私は布帛なので、ニットは基礎しかやりませんでしたし、 会社に入ってからも、ニットデザイナーは完全に別枠なのです。 たぶん、原価が高い毛糸で作ったもののほうが毛玉になりにくいのではないかと。 毛糸にする工程に差があるのではないかと思います。 今年の秋冬、家の中で着ていたイタリア製のニット、 別にそんなに安かったわけじゃないのですけれども、 驚くほど毛玉だらけになってびっくりしました。 しかも、のびのびになってしまったので、来年は着られません。 だから、イタリアだからいいってわけでもないみたいです。 パリジェンヌ、その他の人(日本語以外)の書いたものを読むと、 トレンドは無視して、ベーシックだけを買えばいい、 奇抜な流行なんか追うからすぐ着られなくなる、 というようなことが書いてあります。 けれども、本当にそうなのだろうかという疑問が 読むたびにわきます。 私が見たクライアントさんたちも、 300枚とか、500枚とか持っている方がいました。 けれどもそういう方たちがたくさん持っているのって、 別にトレンドでも、奇抜なデザインでもなく、 凡庸なものなんです。 まあ、トレンドは無視して、ベーシックを買った結果なのかもしれません。 けれども、何この変なデザイン?とか、変な柄とか、 そういうものを持っている人はごくごく一部で、 ほとんどの人がたくさん持っているものって、 ごく普通の、これといって特徴のないものばかりでした。 それで、服はあるんだけれども着る服がないんです、 みたいなことをおっしゃるわけです。 ベーシックだから少なくて済みました!ということはなくて、 ごく普通のものをだらだらとたくさん買ったみたい。 だから、着るものがないと思うのはデザインの問題じゃないと思います。 何が問題なのか。 たぶんそれは気持ちというか、気分の問題でしょう。 着る気がしないんだと思います。 今、検索キーワード見たら 「彼との勝負服での色の組み合わせ」というので探している人がいて、 いやいや、そんなのないから。 色の組み合わせがいいからって、好きになる人なんていないから! 朝からヴァレンティノのオートクチュールを見ていました。
本当に色が美しくて、 その中でもヴァレンティノの色合いはとびきり美しい。 人間には根源的に美しい色合いを身につけたいという欲望があるのではないでしょうか。 それは動物や植物の色の模倣かもしれない。 いつかクライアントさんから、 「カラー診断であなたに一番似合う色は黒だから、 黒だけ着ていればいいと言われたけれども、 ほかの色を着てはいけないですか?」 と質問されて、びっくりしたことがありますけれども、 黒しか着てはいけないって、それは宗教か、 今話題の「侍女の物語」の世界の話で、 似合うとか似合わない以前に、 自然界にある美しい色を身につけたいという願望が、 人間にはあるように思います。 そういえば、去年の今ごろは、 ○○診断でこう言われたけれども嫌だとか、 どこどこの誰それからファッションを習ったけど変だとか、 誰かのお勧めを着たけどおかしいとか、 なんかクレームばっかりもらっていて、 いらいらしていました。 去年の今ごろ書いた文章を見たら、 なんでこんなに怒ってるんだろうと思ったら、 それが原因だったのを思い出しました。 この前から、「クレームはお買い上げになったところに言ってください」と ひとこと注意書きを付け加えたので、 やっとそういうことがなくなり、 ファッションレッスンも心安らかにできるようになりました。 マリア・グラツィア・キウリのディオールの、オートクチュールコレクション。
シュ―ルレアリストのレオノール・フィニがテーマだというのはわかったし、 端正で、さすがの美しさなんだけれども、 なぜ黒と白ばっかりなのだろうかと、レオノール・フィニって、 別に黒と白だけのアートストでないのになと思っていたら、 理由がわかりました。 はい、質問です。 オートクチュールの顧客は誰ですか? その人たちはいつこのドレスを着るのですか? そうです! アカデミー賞です! 今注文して間に合うんですね! 今年は女優たちが黒いドレスで登場です!お見逃しなく。 そんなわけで、ディオールとシャネルです。 シャネルの伝記を読んでいたら、 シャネルはディオールとスキャパレリをことさらけなしていたということがわかりました。 ディオールのニュールックが発表されたとき、怒っていたそうです。 せっかく自分が、ウエストを絞らず、ジャージーというル―ズな素材を使って 楽な服を作ったのにどうしてくれるんだ!と。 スキャパレリも、アートなんか服に持ち込んで下品だ!と激怒。 つまり、ディオールとシャネルは対決しているのです。 それで、です。 マリア・グラツィア・キウリはディオールのアーカイブを毎回参照し、 新しい解釈をしてから作り直しています。 今回はシュールレアリストということでスキャパレリの名前も出ていました。 そしてもちろん、ドレスのウエストはきっちりありますし、 ジャージーなんか使いません。 実際のところわかりませんが、 もしかして、ヨーロッパではいまだにシャネルの評価のほうが ディオールの評価より高いのかもしれません。 けれども、本当にそうか?と。 そしてスキャパレリも、そんなに最悪で下品なのか?と。 何年か前、「プラダとスキャパレリ」という展覧会がニューヨークでありましたね。 これも同じ。スキャパレリって、悪くないわよということです。 ディオールのアーカイブの焼き直しは、 ガリアーノのときはほとんどなかったと記憶しています。 ラフ・シモンズは最初の2回ぐらいはそうだったけれども、 だんだん遠く離れていきました。 マリアはここで頑張っているわけです。 ディオールとシャネル、 どちらがいいかは、好みによると思います。 ウエストがなくて、楽なジャージーが好みな人はシャネルでしょう。 私はもちろんディオールのほうが好きです。 V&Aで、ニュールックの実物を見たときからそうです! コレクションを発表するようなブランドは、
おおむね3つに分けられます。 1、グッチやバレンシアガのような、 時代の方向性を示し、他ブランドに多大な影響力を持つけれども、 実際に着る人は非常に少ないというブランド。 2、時代の方向性に沿ったデザインをし、 より一般に受け入れられるようデザイン性を少なく、 かつクオリティの高いものを提供するブランド。例えばエルメス。 3、トレンドに関係なく自分の趣味性だけで発表するブランド。 買うのはコアなファンだけ。 このうち、日本のナショナルブランドが参考にするのは2です。 この2のデザイン性をもっと薄めて、クオリティを下げた商品を作ります。 そして最後は、この日本のナショナルブランドをもっと薄く、 カルピスウォーターぐらいにしたものがロードサイドに店舗があるような メーカーによって作られます。 そのときはもとのトレンドがなんだったのか、よくわからないものも出てきます。 で、大体これが下まで広がるのに3年から4年ぐらいかかります。 だから今、バレンシアガやヴェトモンがやっていることも、 実際に一般に広がっていくのは3年後ぐらいかなと。 グッチも案外受けいられるのに時間がかかりましたし。 ただ、そのときどれぐらい薄まっているかは不明です。 受け皿の態勢にもよります。 関係ないけれども、 きのうのディオールのオートクチュールに出てきたのは、 マルセイユタロットの月と運命の輪でした。 図柄としては、こっちのほうがいいです。 きのうはシェイクスピアの舞台のときにピアノをお願いした、
ななこさんのサロンコンサートへお伺いしました。 同じ市内、海の近くで、どういう会場かちょっとわからなかったので、 普通のお出かけ程度の格好でお伺いしたのですが、 もうちょっとドレスアップすればよかったかなと反省。 いらしている方は、スニーカーやジーンズなんていう方もいたりして、 カジュアルな服装だったのですが、 お部屋がシャンデリアだったりで、ちょっとしたサロン風で、 休憩時間にお茶が出るというスタイルだったのですね。 そういうときはワンピースのほうがよかったかなと思いました。 (きのうはニットのセットアップ風) 演目もロマンチックな素敵な曲ばかりで、 服もロマンチックがお似合いだわねと。 それでちょっとヒールのある華奢なサンダルみたいなもので行きたいのですが、 家から駅までと、 次の駅から会場まで、 そんな靴じゃたどり着かない。 そういう靴で行くなら、玄関出てから車じゃないと。 かといって、どこかで靴を履きかえるっていうわけにも行かないし。 悩みどころ。 あと、お部屋は暖かったですが、まだ外は寒いので、 そんなワンピースで寒くないかとか、そういう問題もあります。 格好付けて行きたいけれども、 物理的に無理という。 ただ、私の前に座っていらしたおばさまは、服はニットなんだけれども でっかいイヤリングと、でっかいダイヤの指輪をしていらして、 こういうところでは、そういうのもありだなと思いました。 靴はあきらめて、アクセサリーか。 私が通常行くコンサートや芝居は、 サロンではなくて、普通の劇場なので、そういったサロンコンサートへ行く設定はなく、 行く場所が違うと、着るものも違ってくるなと、 いつも自分で言ってるんですけど、 本当にそうだわと、 考えた日曜日の午後でした。 |
AuthorNaoko Kobayashi Archives
September 2023
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