麻とヴェルヴェット
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相模原にある伊勢丹が閉店するというニュースを聞きました。
今年は、小田原にある西武も閉店。 街からどんどん消えてゆきます。 藤沢の駅周辺にはまだデパートが2つあって、 さすがに閉店はしないようですけれども、 過去にはもう1つ、西武があって、 確実にそのころのほうが藤沢の街はにぎわっていました。 西武は本屋もCDショップの充実しているので私もよく行っていました。 今は、デパートは行かないことはないけれども、 もっぱら地下の魚屋ばかりで、 あとは通り過ぎるだけです。 私はもとからあんまりいろいろ買わないので、 一般の人の消費行動とは違うと思いますが、 地下の食品売り場は結構人がいるけれども、 ほかは閑散としているというのが最近の状況です。 この前も地下とカフェは混んでいるから、 1階と2階を食料品とカフェにしちゃえばいいのにと、 ふざけて言っていましたが、本当にそうでもしないと、 特に郊外の街のデパートに人は戻ってこないかもしれません。 相模原の伊勢丹については、 できた当初、とても立派で素敵で、 クラブツリー&イブリンのカフェやフォブコープのカフェなんかよく行ったりしていたので、 なんか残念です。 ドリス・ヴァン・ノッテンのコレクションをYOUTUBEで見直していて、
相変わらずの美しさ、完成度の高さに感心して、 ついでにお勧めで上がってきた、ドリスのカントリーサイドの日常の様子を撮影したビデオを見ました。 それはカントリーサイドの邸宅で、 広大な芝生の庭と、花と野菜が育つ庭があって、 大型犬がいて、といった暮らし。 庭には薔薇や、ダリアが咲いていて、それを部屋に飾るために摘み取って、 キッチンガーデンで野菜を収穫して、自分で料理して食べるという、 そんな暮らしでした。 そういう生活をしている人がデザインするのですから、 それは美しくなる、というものです。 毎日、目に入ってくるものが自然の美しさに満ちている。 ドリス・ヴァン・ノッテンのみならず、 ふだんはカントリーサイドに暮らしているデザイナーはたくさんいます。 なぜかというと、そちらのほうが豊かだからでしょう。 イギリスにも、昔からカントリージェントルマンというのはいるし、 それは一種の憧れのライフスタイルです。 時々、自分は住んでいるのは田舎なのでおしゃれはできない、 みたいなことをおっしゃる方がいますが、 そんなことは全然ありません。 日常は質素なスタイルで、何かあるときに美しい格好をするというのができるのも、 田舎ならではないかと思います。 もちろん、おしゃれをする機会は自分で作らないといけないと思いますけれども。 さて、注目のエディ・スリマンによるセリーヌは、 予想どおり、エディ・スリマン仕様で、いつものロックな感じでした。 今までサンローランを買っていたみんな、こっちへおいでということで、 客をかっさらっていきそうです。 そしてメンズのパンツも、エディ・スリマンでさえ、ツータックです。 タックパンツの時代が日本にもそろそろやってきます。 もちろん全員がそうということではありませんが、
若いころは流行に影響され、 年をとるにつれ、影響される度合いは低くなります。 そして、これも大体ですが、60歳ごろでしょうか。 わが道をゆくスタイルに落ち着いていくことになります。 そうなると、その人のスタイルが確立していれば、 ルール無視だろうが、流行無視だろうが、 関係ありません。 その人のパーソナリティが表現されていればそれでよくて、 高い安いも、古い新しいも関係ないです。 そうなったときに重要なのは何かと考えたら、 それは自信なのではないかと思います。 私はこう生きてきたのよ、これからもこのままいくわという、 生きることに関する自信。 それさえあれば、どんなスタイルでもそれなりに 格好良く見えるのではないかと思います。 きのうはそんなスタイルを確立されたお二人とハイパーに盛り上がり、 とても楽しかったので、 そのままいってください。 昨晩はドリス・ヴァン・ノッテンとロシャスなど。
明るい色にあふれ、羽根飾り、輝く素材など、 とても美しいコレクションでした。 本当にここ二、三年のファッションの傾向は、 戦後、最も華やかで、女性らしさに満ちていると思います。 フリル、レース、プリーツ、刺繍、 華やかな色合いなど、ロマンチックな要素がたくさん。 少女マンガに出てくるような、そんな衣装を実際に着てもいい時代って、 なかなかないです。 もちろん値段も高いですけれども、 古着や中古を探せば買えます。 (その話は「21世紀のチープシック」に書いてありますし、 中級ではより具体的に話しています) あと日本の場合は、 それをいつどういうときに着るか、ということ。 都会ですら、みんな大した格好していないですから、 機会は自分で作らないといけません。 もう1つ、最近思うのは、 やはり仲間がいるほうがいいかな、ということ。 一人じゃなくて、2人とか3人でつるんで素敵な格好で歩くと、 より気分は味わえます。 なぜなら自分が着ている服って、鏡でもないとわからないから、 似たようなメンバーで歩くのはお勧めです。 次の時代がくる前に、 ロマンチックを楽しみましょう。 British Vogueに、今回のロンドンコレクションはアーツ・アンド・クラフツにあふれていたね、
という記事が出ていました。 なんかもう当たり前になってしまって、 さしてどうとも思いませんでしたけれども、 そういえば、今回はマクラメというか、ネット編み、 みたいなものが多かったです。 特に頻出しているのがネット編みのドレスで、 文字どおり、ネットでできたドレスやらスカートが出てきました。 しかし果たしてこれは実際に着るのでしょうか。 あんまり着る感じはしないので、 ディテールとして、マクラメとかネットということなんだと思います。 とにかく手仕事多し。 そしてグッチはよく見たら、80年代というよりは70年代で、 イチゴプリントが、子供の頃遊んだ千代紙のプリントのようでなつかしい。 あと、なんでミッソーニでピアノ・レッスンの生演奏があるのかと思って調べていたら、 マイケル・ナイマンが生演奏していたとわかりました。 ユーリズミックスとかニューオーダー、 ピナ・バウシュにマイケル・ナイマンって、 私も古いのが好きだけれども、みんなも古いのが好きなのね。 関係者でもないし、招待されているわけでもないので、
ショーのテーマは事前にはわかりません。 しかし、ディオールのコレクション会場の入り口に大きく、 ピナ・バウシュ様の言葉が書かれていたら、 これは期待せずにはいられません! イザドラ・ダンカンの言葉も書いてある。 ということは、革新的な女性ダンサーの系譜という感じでしょうか。 あと、アンチクラシックということ。 ピナのダンスはコンテンポラリーダンスと呼ばれています。 なぜかというと、途中でせりふがあって、芝居が始まったりするし、 観客に話しかけたりするので、もうモダンには入らないから。 それはいいとして、 ではどんな衣装なのか。 イザドラ・ダンカンといったら、裸足にギリシャ風のドレープのドレスな感じで、 ピナ・バウシュは、スリップドレスにハイヒールでがんがん踊るスタイル。 モダンもコンテンポラリーもトウシューズははきません。 イスラエル人のコレオグラファであるシャロンなんとか(読めない)のダンスカンパニーで始まった舞台には天井から薔薇の花弁が落ちてきて、 これはピナがカーネーションを天井から降らせたことを思い出させます。 実際あらわれた衣服はトウシューズやチュチュにインスパイアされたものが出てきたりして、 けっこうクラッシックな雰囲気なものもあるのですが、 とにかくダンスにインスパイアされた現代の女性のための衣服で、 ドレスが中心でした。 ルックをよく見ていくと美しいし、実用的なのはやはりテイラードジャケットで、 ディオールの面目躍如。 何かピナ関連のグッズが出てくるのかと思ったら、 そういうわけではなく、 あったらどうしようか、ピナファンは買わなきゃならないのかと心配したんですけれども、 ありませんでした。 よかった。 一方、グッチもテーマが劇場で80年代。 暗くてよくわからないんだけれども、 ディスコみたいな感じなのかな。 ますます混とんとしています。 今年の夏は気温が高い日々が続きました。
まだ夏物を着ていて、日々、洗濯をしているわけですが、 化学繊維以外、特にコットンの劣化が激しいように感じます。 特にひどいのが色落ち。 ネイビーの服の縫い目がみんな白っちゃけています。 来年は、電車に乗るようなお出かけには着られない感じ。 カーキのカーゴパンツもポケットの中の色とだいぶ違ってきています。 もちろん洗濯回数によるものもあると思いますけれども、 それにしてもひどく劣化しました。 (ちなみに私はすべての洗濯ものを家の中に干しています) あと、穴があいたり、破けたりしたものもあります。 日差しが強く気温が高い国や地域の人も、 同じように衣服が劣化するのでしょうね。 劣化が激しいので、枚数もたくさん持たないのではないかと想像します。 きのうはポール・アンドリューによるフェラガモのコレクションがありました。
先シーズンがとてもよかったので楽しみにしていたフェラガモ、 今回もとてもよかった。 (音楽がユーリズミックスとニューオーダーだったんで、そこも含めてよい) そこで出てきたスカートの多くがハンカチヘム。 これだけ多くのブランドがハンカチヘムを採用しているので、来年はやはりこれ。 (もちろん今年はいてもよし。私は去年の夏も冬もハンカチヘムでした!) 次にフェンディで出てきた飛び出す立体ポケット。 どういうものかというと、ポケットにマチがついて立体的のもの。 よく釣り人が着ているベストについているあれ。 昔からあるタイプのポケットですが、ヴァ―ジル・アブローがこの前のルイ・ヴィトンで、 立体ポケット推しだったので、次にくるのではないか、ということですが。 私はこの立体ポケットあんまり好きではなくて、 ポケットのせいで買わなかったりする場合もあります。 大きい人にはいいかもしれません。 次、サイクルパンツ。 これはもう既にストリートではいている人が出てきているのだけれども、 サイクリングの人がはく膝上丈のタイトフィットのパンツです。 これはどうなのだろうか。 身体のラインがそのまま見えるので、若い人だけかなと思います。 タイトフィットではないタイプのひざ丈パンツはプラダを始めとしていろいろ出ているので、 こちらは結構はやるかもしれません。 本日ミラノは最終日で、次はいよいよパリです。 ファッションレッスン中級の募集を開始いたします。
日程は2018年10月20日(土)、または2018年11月10日(土)です。 募集定員は各回4名です。 詳細はお知らせ欄にありますので、ごらんくださいませ。 なお、今後のその他の予定です。 2018年11月3日(土)川端龍子絵画鑑賞会「東京ハ―ピー」 2018年12月28日(金)13時30分~ファッションレッスン初級 2018年12月28日(金)17時~湘南くじら館フェアウェルパーティー@湘南くじら館 ファッションレッスン中級を受けたい方は初級を受けてくださいね! また、年末に湘南くじら館において湘南くじら館フェアウェルパーティーを開催いたします。 小林&かおりのコンビでいろいろ裏話のトークと、少しですが飲み物(トーンガルテンのパンを予定)、食べ物をご用意いたします。よろしければ予定に入れておいてくださいね。 ミウッチャ・プラダ様が、
例えば、「ミレニアム世代」というふうに若者をくくって単純化されるのが 心配というか、気がかり、なぜなら若者はみんな違うのに、 というようなことを言っていて、 これは欧米のファッションに対する姿勢の1つをあらわしている発言だと思いました。 欧米人にとって「ファッションというものはひとりひとり違う個性の表現であり、 決して単純に一つにまとめることができないもの」という大前提があります。 その結果、コレクションでいろいろなデザイナーがいろいろなデザインのものを発表するわけで、 そこが「みんなが同じものを着ればいい」という考えの人が少なからずいる日本とは、 大きな違いであり、その結果、起きる現象も変わってきます。 洋服の世界においては、例えば男性がスーツを着るにしても、 どこかしら単純化からの脱却の試みがなされるのがおしゃれということだと考えられていて、 同じに甘んじるというのは、言うなれば個性がなく魅力がない人ということになるでしょう。 もちろん女性もそれと同じです。 ミウッチャ・プラダ様が「クラッシックのルールを壊したい」というときに、 確かにルールはあるけど、もっと新しいものに変えたいし、 それは単純化からの脱却の方法でもあるのよね、 ということを言っているのだと思います。 もちろんそれは選ばれない可能性、つまり売れない可能性もあるわけですが、 それにしても、チャレンジしたことに意味があるわけで、 それだけでも負けではないわけです。 本当に負けた人というのは、自分で何も考えず何もやらない人なわけですから。 だから洋服の世界においては、ちょっとぐらい変な格好でも、 脱単純化の試みをし、自分の個性を表現する人のほうが評価されます。 おしゃれであっても誰かと同じは「あ、そう」で終わるのです。 だから、例えば「おしゃれ」がテーマのイベントで、 みんなが似たような格好をしていたとすれば、それは失敗で敗北です。 「みなが同じ」は、それがたとえ記号としてのおしゃれであったとしても、 人生の負けです。 そういう意味では、私が主催するイベントに来る皆さんは見事に違う格好をしている。 すばらしい! 同じ格好の人はいません。 みんなばらばらで美しいです。 |
AuthorNaoko Kobayashi Archives
September 2023
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