麻とヴェルヴェット
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グッチの2018SSのヴィジュアルイメージに、
ラファエル前派の画家であるジョン・エヴァレット・ミレーの「オフィーリア」が 使われています。 時代を読むメンバーがそろっているブランド、さすがです。 さて、昨夜のディオール。 この前はニキ・ド・サンファルで、 これはちょっと盛り上がらない、という感じだったのですけれども、 今回はほとんどが好みで、 大変楽しく拝見いたしました。 何よりも、キャスケットとブーツでございます。 秋冬、わたしに会ったことがある皆さんはご存知かと思いますが、 わたしは大体9月から3月まで、95パーセントぐらいの割合で キャスケットにブーツです。 黒とネイビーのキャスケットを交互にかぶっています。 ディオール、多くのルックでキャスケットをかぶっていて、 これはたまらなく大好き。 ドレスにもキャスケット。 テーマは1968年ということで、 マーク・ボアンがディオールをあけた年なんだそうです。 で、今回のスローガンは“Non, non, non.”。 これはミレニアムスピリットで、 ノ―と言うのは困難だから、なんですって。 わたしも、たとえ意見が通らないとしても、 言うだけは言います。ノ―、私はそうは思わない、ってね。 もうすぐ2月が終わりますが、
ことしに入ってわたしが買ったのは バンプのTシャツ1枚、 セーターの下に着る長袖Tシャツ1枚、 セーター1枚です。 わたしの買い物はいつも大体こんなものです。 服は、いつも未来の自分のために買うものなので、 これからの目指す感じの参考に、 例えば60歳前後の女性で素敵な感じの人はいないかなと、 電車に乗ったときなど探すのですけれども、 これがなかなかいらっしゃいません。 先日、ちょっとこの方はおきれいねと思った60代とおぼしき女性が どちらへ歩いていくか見ていたところ、 一人で真っ黒のフェラーリに乗り込んで、 運転して駐車場を去りました。 フェラーリか。それは無理そうですね。第一、車の運転できないし。 というか、フェラーリっていくらするんだろうか。 好みは人それぞれでありましょうが、 やはり目がいくのはきれいな人。 年配できれいな方は少数派で、 なかなかいらっしゃいませんが、 もしそれまで生きていたら、 そちらの方向にいきたいものです。 それにしても、グッチの「ビバ バレーボール」のセーターとバッグ、すごいデザインですね。誰が着るのでしょうか。 井出ちかえさんって、70歳なんだ。 それでグッチに抜擢ってすごい! みんな、夢は捨てるな! 不思議なことに、「着るものがない」と言っている人のワードローブは、
ぎっちり詰まっています。 多い人は300枚ぐらい。 見せてくれたのがそれぐらいなので、 たぶんもっとあるでしょう。 500枚とか。 たくさんあるからといって、 巨大なウォークインクローゼットを持っていそうな雰囲気もなく、 大体、服はしわしわで、つるされていた状態ではなかったということがわかります。 翻って、わたしのレッスンを受けて実践している人(←ここが重要)は、 大体全体の量は少ないのだけれども、 人によっては、その少ない量なのにもかかわらず、 「いろいろ着るものがあって迷っちゃう」などとおっしゃいます。 その差は何なのでしょうか。 基本的にたくさん持っている人って、 これも好きなんです、あれも好きなんです、などということは言わない。 選択の理由は「必要」が最も多いかもしれません。 それにしても、300枚も500枚も必要ないと思うけれども。 好きなものをコレクションしていくと、 好きな服ばっかりになって、 あれも着たい、これも着たいということになります。 ファッションレッスンをしていて、 好きなものコレクションを見せてくれた人は、 ジュエリーやアクセサリー以外ではありません。 自分の好きなものコレクションをするといいのではないでしょうか、服も。 先日、江ノ島へ行ったとき思ったのが、
今は、二十歳前後の人たちのほうが、 お金はないなりにおしゃれをしようとしているということです。 逆に、30歳以上の人で多いのは、 とにかくバッグだけが目立って、服はジーンズみたいな感じの人。 そうしたら、今、例えば高校生の子たちは、 お出かけのときはスカートで行くとか、 ジーンズなんかは近所へ買い物へ行くときの格好とか、 それなりに考えて、着分けているのだということを聞きました。 もちろんブランド物のバッグなんて持っていないので、 「ブランド物のバッグさえ持っていればいいのよ」みたいな考えはありません。 だから工夫するので、それはとてもいいことです。 ちなみにブンカみたいなところへくる子たちも、 基本的に布が好きなので、 バッグにはそれほど興味がありませんでした。 ブンカの卒業生たちも、 安い服にハイブランドのバッグみたいな人、 いませんでした。 みんな、バランスを考えますから、そういうことはしないのです。 今、ミラノコレクションが半分ぐらい進みましたけれども、
どこもかしこもアグリースニーカーだらけで、 これが一般に流行るのは必須です。 グッチなんてスニーカーのロゴにわざわざSEGAのフォントを使用していて、 よりダサい感じを演出。 けれども普通の人は10万とか15万のスニーカーなんか買わないだろうし、 要らないです。 もちろんどうしても欲しいなら買えばいいけれども。 だけれども、先日靴の量販店を見たら、 大人用のアグリースニーカーって、もうあんまり売っていなくて、 かっこ悪いのは子供用ばっかりなのね。 シルエットも80年代リバイバルだし、 足元もアクセサリーも、 これからいっそう大きく、ごてごてしていきそうで、 まだピークではない感じです。 この前はショー会場が真っ暗でよくわからなかったグッチ、
今回はなぜか手術室。 意味は、マテリアルを切ったりはったりするからだそうで。 ショーはなぜか生首を持参していたり、 ドラゴンの赤ちゃんを持っていたりと、 相変わらずの奇妙奇天烈ぐあいなのですけれども よく見ると、この前より普通に着られるものが多くありました。 服は無理ってなっていた人が少し戻ってくるかも。 そしていつものことながら、ニットにパールとか刺繍がついているものはとてもきれい。 実物を見ましたが、あのわざはうっとりするほどです。 そしてプラダ。 グッチが、なんか着られそうというものが多かったのに対して、 こちらは、これはちょっと着るものがなさそう・・・というコレクションで、 色はネオンで、足元に新しいシルエットを投入。 なぜか白長靴をはいていたりして、 そういえば、シルエットもこのあいだのニューオーダー祭りのラフ・シモンズに似ています。 あと今回、目立ったのがオーガンジー使い。 いろいろなところからオーガンジーがはみ出ています。 中でも目を引いたのがドレスの上にオーガンジーを重ねるスタイル。 これはいいなあ、なんて見ていたら、 思いだしました。 私がブンカにいたとき、ドレスとオーガンジーのコートというスタイルを作ったということを。 要するに、オーガンジーを重ねるのが好きなわけですね、自分は。 そして、はっと見ると、 きのうはいていたのはネオンイエローのシフォンのスカート。 オーガンジーもシフォンも透け素材ですが、 オーガンジーはぱりっとしていて、シフォンはてろんとしているのが違う点です。 で、このネオンイエローのスカート、 裏地を全部とってしまうと、ただの透けてるスカートになります。 もう3年着たから、 裏地とってみようかな。 しかしそうすると、着るのは難しい。 どうしようかなとか、考え始めました。 皆さんも昔から好きなものがあると思います。 そういうものがある場合、着たほうがよい。 いつ着られなくなるかわかりません。 病気になっても着られない。 着られる時期というのは、そう長くはないのです。 gettyimagesのストリートスナップの中から、
きれいなスタイリングの人を探していたのですけれども、 その作業をしていてわかったのは、 結局、きれいな人はいつもきれい、ということと、 そういう人は大体VogueかELLEのエディターか、 フォロワーが何十万人もいるインスタグラマーか、 イラストレーターだということです。 (ちなみに、日本のエディターその他、雑誌関係者、 誰もストリートスナップを撮られていません) きれいだなと思って、クレジットを見てみると、 また同じ人だわ、ということになります。 そしてアンナ・デル・ロッソや、ジョバンナなど、 イタリア勢は色に正確です。 アンナ・デル・ロッソ、 奇抜な格好ばかりしている印象だし、 デザイン性が高いものばかり着ていらっしゃいますが、 よく観察すると、3色以内だし、 多色のときは柄物の色の中だけでまとめています。 そしてそれを毎回毎回ちゃんとやっている。 ジョバンナも3色ルールを割と厳しく守っています。 それだからこそ、デザイン性の高いものを着ても平気。 ただ、勉強になるのはこういったほとんどがごみみたいなストリートスナップじゃなくて、 コレクションとか、 Vogueなんかのスタイリングされた写真です。 そういったものを見続けたほうが、 結局は実力がつきます。 きょねんの今ごろ、
「わたし史上最高におしゃれになる!」という本のためのイラストを描いていました。 本当に久しぶりに描いて、 そうじゃなくてもあんまりうまくないのに、 十分な練習もできず、自分としては納得がいく出来ではなかったのですが、 今振り返ってみて、 それでも、自分のイラストの表紙でよかったなと、 今つくづく思います。 もしあれが、 どこからか拾ってきた、アジア系ではない、白人モデルかなんかの写真を使った表紙だったら、 それは私がもっとも格好悪く、ダサく、もちろんおしゃれではないと思うものなので、 そんなもの見たくもないし、 もしそうだったら私の黒歴史だし、 なかったことにしたいほど、 嫌なものになっただろうなと思います。 デビュー作がそんな本じゃなくて、本当によかったです! あのときは、絵が下手すぎて泣きましたけど、 今考えたら、 変な写真を使うよりはずっといいです。 ありがとうございました! gettyimagesのストリートスナップをたくさん見ました。
どういう仕組みなのかはわかりませんが、 あそこにあがっている写真は、 とにかくわかりやすいブランド、もしくはブランドのロゴばかりで、 それは辟易するほどで、 そうじゃないものは5分の1ぐらいな感じ。 けれども、そうじゃないのというのは大体有名なエディターやモデルで、 要するに、「どこかが決定的に有名であるもの」が主流でした。 で、本当にみんな、これがいいと思っているの?と疑問に思って、 British Vogueのストリートスナップを改めてみたら、 エディターやモデルは載っているけれども、 目立つブランドバッグを持っているだけ、 みたいなのはきれいにのぞかれていて、 安心しました。 こっちが本物です。 けれども、普通の人はgettyimagesのああいった写真を見て、 ブランドのロゴがでっかく入ったバッグさえ持てばいいんだ、 と勘違いしてしまうのかもしれません。 売るほうはそれをわかっていて、作るのかもしれない。 インスタグラムとかgettyimagesとかばかり見ていたら、 有名なブランドのロゴ入りバッグと靴至上主義になって、 それ以外はわからなくなってしまう可能性がありますね。 |
AuthorNaoko Kobayashi Archives
September 2023
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