麻とヴェルヴェット
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そうはいっても、そんな女性は私のところに来る人に限っているのではないかと思いまして、
その根拠となるような、例えばOECDのデータなどをよく調べました。 その中で最も参考になったのが舞田敏彦先生のブログ「データえっせい」 (舞田先生、ありがとうございます!) これをご覧になればわかるのですが、 うちにいらっしゃるクライアントさんたちは、 必ずしも例外的な存在ではありません。 これからAIやブロックチェーン技術が進んできます。 すると、事務系の職業がなくなっていきます。 当然、企業のリストラも進みます。 そのときに必要とされるのは、 できる人が少ない専門性のある仕事、 もしくは誰もがやりたがらない仕事、 このどちらかができる人です。 貯金ももちろん大切なんですけれども、 仕事を続ける場合、教育が必要になります。 その教育は、特に女性に対しては、企業はしてくれません。 よって、自力で私たちはその能力なり技術なりを身につけなければなりません。 そんなわけで、おしゃれにお金を使っている場合じゃない、 と私は思うわけです。 新刊は中級の内容なんですけれども、
内容は賢くお金を使う方法が半分です。 当初、中級はないと言っていたのですが、 皆さんのお金の使い方を見ていたら、 だんだんこちらが不安になってきたのでした。 どういうことかというと、 30代後半、シングル、非正規雇用で貯金なし。 それなのに、財布はハイブランドを買ったりしているみたいな人がいたりして。 中には、ハイブランドの財布はないけれども、 お金がないから、土日は外出しないというアラフォーのシングル女性もいたりして、 40歳で貯金ないです!みたいな、 まあそれは今の日本のスタンダードなのかもしれませんが、 本当にそれで平気なのかと。 また一方で、ファストファッションを、こちらがめまいがするほどにたくさん買っていて、 全部なんかくたびれていて、8割のものは着ていないとか、 そんなお金の使い方を見るにつけ、 考え方を変えてお金を賢く使ったらいかが?と思うに至ったわけです。 このあいだ、電子版の日経に記事が出ていましたが、 日本の働く女性の所得の平均値が最も高いのは26歳のときだそうです。 26歳がピークで、特に結婚を境にぐーんと低くなります。 結婚してぐーんと低くなって、3分の1は離婚します。 私の周囲でもばたばた離婚しています。 あと、若い方の場合は奨学金問題。 毎月2万円とかを20年近く払ったりするわけでしょう? 女性の場合、非正規が半数を超えているのに、 これを20年払うというのは非常に大変です。 それで結婚して、子供ができて保育園に入れなくて失職したら、 その奨学金は誰が払うというのでしょうか?夫なの? 夫も奨学金があったらどうなの?夫が2人分も払うの?? もちろん、私は皆さんが、貧困を経験したいとおっしゃるのであれば、 それを止めるものではありません。 そういう経験をしたい方はどうぞ。 けれども、そういう人はあんまりいないと思うのです。 そんなわけで、 まずは実際は着ていない8割を極力少なくする方法と、 お金を賢く使ってお買い物する方法、 この2つについてを中級としました。 これから産業構造が変化します。 それに伴って、事務職が大幅に減ってきます。 もう銀行は採用を控えていますね。 クライアントさんの中には、40歳を過ぎてから看護学校に入った方がいらっしゃいましたが、 みんながみんな、そうではないと思います。 あ、何度も書きますが、 お金の心配などなくて、好きなものを好きなだけ買える人には、 チープシックは要らないので、 お読みにならなくて結構です。 新刊について少し説明します。
なぜ21世紀のチープシックなのかというと、 20世紀のチープシックでは通用しない部分があるからです。 大きな違いはインターネットの存在です。 多くの人がネットに接続するようになったのは2000年以降だと思いますので、 そこが分岐点です。 インターネットがある時代とない時代、当然、チープシックのやり方が変わってきます。 ですからわざわざ21世紀とつけてあります。 それからもう一つは、やはり20世紀と21世紀では、 アパレル関連の商品の供給量が違います。 円高以降、インポートものが非常にふえました。 またファストファッションが広がったのも、2000年ぐらいが分岐点だったと思います。 それもまた違う点です。 20世紀にはカテリーヌ・ミリネア+キャロル・トロイ著、片岡義男訳の 『チープシック』という名著があったわけですし、 今読んでも十分いいわけですが、それではやはり足りない部分があります。 その点について補ったのがこんどの新刊です。 あと、これは何度も書いていますが、 チープシックは、好きなものを好きなだけ買える人には要りません。 だから該当しない方もいらっしゃると思いますので、 そういう方はお読みにならなくていいです。 ただ、私のクライアントさんたちの多くは必要でしょう。 明日はなぜ必要だと思いいたったかについて書きます。 持っているのにタンスに入っているだけで着ない、いわば死んだ服を
「ゾンビ服」と名付けました。 そして、その「ゾンビ服」をどうやって減らしたらいいか、 新刊に書きました。 私がこのようなゾンビ服の存在に気づいたのも、 皆さんの実際のワードローブを拝見したからです。 想像していた以上に、持っているのに着ない服を皆さん、お持ちでした。 以前は控えめに7割着ていないと書いていましたが、 本当は8割だと思います。 このあいだ、エネルギー保存の法則ということについて、 理系のみんなと楽しく語っていたのですけれども、 エネルギーは一定なんで、 もしそのたくさんの着ない服の維持管理にエネルギーを使ったら、 ほかのことに使うエネルギーがなくなるわけなんです。 維持メンテナンスするエネルギーを最小限におさえるということは、 ほかの人生でもっと重要な事柄についてエネルギーを注ぐことができるようになる、 ということでもあります。 ではどうやってゾンビ服を減らしていくのか、 ゾンビ服にならない服選びはどういうものかについて、新しい本には書きました。 これは皆さんの実際のワードローブを拝見した結果、 私がこうすればいいのではないかと考えて、導き出した方法論です。 だから、皆さんのワードローブを見たことがなかったら、 考えることもなかったものです。 現実を知らなければ、その改善方法についても考えることができません。 そんなわけで、4月26日発売の新刊、よろしくお願い申し上げます! お知らせです。 このたびKADOKAWA様より4月26日に新刊が出ることに相成りまして、 アマゾンさんで予約が開始いたしました。 リンク先はこちら。 内容は、おしゃれブログのほうにある「21世紀のチープシック」です。 限りあるお金を賢く使ってお買い物をしようということと、 無駄なものを買わないようにしようという、この2点です。 前の本が初級の内容なので、 今回は中級編となります。 文章はすべて書き下ろし。 ブログには書いていないこともたくさん書いてありますので、 皆様、ぜひご予約のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます! 日本のファッションがなぜ発展しないのかということについて、
「豊かな中間層が喪失したから」ということを書いている人がいて、 なるほどなと思いました。 なるほどなと思いましたけれども、 過去、日本の女性で豊かだったのはごく一部で、 そのほとんどは「世界最貧国レベル」だということは、 統計を見ればわかります。 で、ファッション業界ですが、 その「世界最貧困レベル」の維持発展に大いに貢献してきたので、 種をまいたのは自分たちですから、 そのまいた種を刈り取るのも自分たちです。 例えば、です。 プリーツで有名なあのブランド、 ブンカの3年生のころ、みんなが「あそこは手取10万円だから、 行かないほうがいい」と口々に言っていました。 また、蝶々のマークで有名なあそこも、 すっごくお給料が低いと。 あともう1つ。 特にこれは男性のデザイナーのブランドですが、 ライフスタイルが全然見えないので、試着する気も起こりません。 いつどこで何をするときに、何のために着たらいいのかさっぱりわからない。 たぶん作っている本人のライフスタイルが、みんなの憧れるものではないからでしょう。 あとはどうしてもその人の女性観が出てしまって、 それに賛同できないと、着たくもないというのがあります。 原因は1つではなく、複合的にたくさんあります。 これが解消されないと、日本のファッションは発展しないでしょう。 年をとると着る服がわからないとか、
似合う服が減ってくるとか、いろいろおっしゃる方は多いのですが、 私の場合、ちょっと違います。 着る服はわかっています。 正直、もう中途半端な服は着たくない。 中途半端なクオリティとか、中途半端なデザインとか。 それは肉体的な問題というよりも、 時間がもったいないから。 だって、好きな服を好きなように着られる時間なんて、 限られている。 今はまだ着られるので今のうちに着ておかないと。 みんながみんな、イザベル・ユペール様のように年はとれない。 着たいものはわかっているし、それしか着たくない。 そんな感じです。 おしゃれに見えるとかどうとかって、
どんどん突き詰めて考えていくと、 色についての問題であるということが1つ。 それと、心理的な問題じゃん、というところにたどりつきます。 新しいものがよく見えるという人間の心理。 何度も見ていると飽きると人間の心理。 結局、心理的な問題だとわかっているから、 売りたい側はそれを利用します。 曰く、「遅れている」と脅すか、 もしくは「これさえ着れば○○になる」と誘導するか。 でも案外、それが間違っていることも多いです。 なぜなら、彼ら、心理学(最近では進化心理学)をちゃんと勉強したわけじゃないから。 適当に言ってるだけ。 さて、飽きるということですが、 たくさん見ると飽きます。 CMの女王が露出が多すぎて飽きられるのと同じです。 他人が着ているのをたくさん見ても飽きます。 だとしたら、冬服はしまったほうがいいでしょう。 春夏のあいだ、見ないほうが賢明です。 見てしまうと飽きますからね。 そうそう、きのううちの近所で、 ボーダーシャツ、ボンバージャケット、ダメージジーンズ、Νバランスのスニーカーの 小学生を見ました! ついに、小学生まできました! お年寄りのほうが先で、小学生は後ですね。 きのう読んでいた本に、
「もので人は癒されない」という文章が出てきて、 ああ、本当にそうだ、と思いました。 もので人は癒されない。 ものが癒すように見えるときは、それはものじゃなくて、 ものに張り付いた思いでしょう。 それが好きだとか、何かの記念だとか。 よく男の子がお母さんの話を無視して、 おもちゃに熱中しているのを見ますけれども、 あれはおもちゃを通して自分の好きに熱中していて、 その好きの妨害をするお母さんを無視するのですね。 もちろんそれには前段階があって、 そのお母さんは、その男の子の好きからくる依頼を無視したのです。 だから同じことをやる。 好きなものに熱中しているとき、彼は癒されているのです。 では好きでないものに囲まれたら? 癒されるの反対です。 やる気がなくなり、ひどいときは落ち込みます。 もちろん、どちらでも選ぶことができますけれどもね。 ときたまおしゃれブログでどの記事が読まれているかチェックします。
相変わらず皆さんがお知りになりたいのは「バッグの色の選び方」と「麻について」。 その他、みんな、どこを読んでいるのかチェックしてみると、 2011年、12年、13年に書いたものが結構、アクセス数が多くて、 基本的な知識というものは古くてもほとんど変わらないのだなと思います。 2011年って、もう7年前。 服でも何でも基本的なことはそんなに変わらなくて、 変わるのはシルエット。 シルエットが変わるので、それに伴って着こなしも変わります。 それは表層的なものなので、 雑誌という媒体はそういうものをチェックするには向いていると思います。 けれども、「バッグの色の選び方」であったり、 麻という素材の特性については、 案外、雑誌には載っていなかったりする。 そのためいまだに多くの人が、 このキーワードで検索するのでしょう。 特に今週、多くの人が見ているんだけれども、 3月、4月はバッグを買う時期なのかもしれません。 |
AuthorNaoko Kobayashi Archives
May 2023
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