麻とヴェルヴェット
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例えば古着屋とか中古で買って、
たまにその素材がウールなのか、化学繊維なのかわからない場合がありますよね。 さわっただけでは判断しかねる場合。 そういうときは、霧吹きをかけてアイロンがけをします。 ウールだったら、ほんのりけもののにおいがします。 獣毛臭というやつでしょうか。 ウール100パーセントだったらそうなります。 ただ、混紡だとわかりづらいかもしれません。 生地や糸だと、ウールか化学繊維かを判別するには、 燃やしてみます。 石油由来の化学繊維だったら、しゅわっと縮むように燃えます。 ウールとかコットンだったら、燃えかすが残る感じでじわじわ燃えます。 あと燃えるときのにおいも違います。 ただこの方法は、燃やせる部分がないとできないので、 縫い代の端を切るとかしないとできませんから、 ふつうはやらないでしょう。 古着や中古だと、 素材タグが切り取られていることもあるので、 とりあえず霧吹きをかけてアイロンをかけてみるのがいいと思います。 服にしみがついたとき、
とれるものととれないものがあります。 インクなんかはとれないものの1つ。 しみ抜きについては詳しいサイトがたくさんあるので、 それを見たらいいと思いますが、 まずはしみがついたらなるべく早く洗うなりなんなりするのが一番大事。 水洗い、中性洗剤、酸素系の漂白剤、 それがだめならアルコールかベンジン。 ハイターみたいな漂白剤は最終的に使うものになります。 というのは汚れは落ちるかもしれませんが、 生地がとても傷みます。 傷んで切れやすくなる。 だから本当はやめたほうがいいです。 しみの場合、 目立ってしまう場所についたら、 やっぱりもう無理かなと思います。 見えないところ、目立たないところならいいですけれども、 白いシャツの目立つところにしみとなると、 捨てるしかないかなと思います。 メルカリなんかでもしみがついたものが結構出ていますが、 自分で修復するのは難しいので、 手を出さないほうが無難でしょう。 すべての衣服がわかりやすく壊れるわけではありません。
破れたり、穴があいたりというものはむしろ少数でしょう。 けれども、繰り返しの着用及び洗濯によって、衣服は劣化します。 ではどこで判断すればよいでしょうか。 例えばコットンや麻などの自然素材の場合、 濃い色の場合は縫い目とか、ミシン目の周囲が白くなってきます。 ジーンズの色落ちなどのように。 あの、縫い目とミシン目の周囲が白くなったらもういいかなと思います。 それは何回も洗ったという証拠。 ただし、化学繊維はこれが起きません。 破けにくいのみならず、色落ちもない。 よって、捨てどきというのはなかなかきません。 あるとすれば、白い物の汚れが染みついて落ちないとか、それぐらいかな。 ダークな色合いのものはそれもないので、 ずっと持っていてね、という感じ。 ウールなんかはやはり虫食いとか多数の毛玉。 白いニットだったら、入りこんだ落ちない汚れとか、しみ。 ウールのしみはなかなか落ちないので、 目立ったところにしみがついて落ちなかったら、 もう仕方ないとみていいでしょう。 自然素材のしみはなかなか落ちにくいです。 しみも、もう着られないというサインと見ていいでしょう。 化学繊維はしみもつきにくいので、 あとは自分で判断するしかないでしょう。 最近、というかこの春夏シーズン、
格好付けていきたいときは、靴を持参してはきかえています。 格好付けるときの靴はヒールが高いので、それで長時間や移動は厳しいですから、 現場ではきかえます。 でもなんだかそれがいいみたいです。 80年代シルエットと今のシルエットは似ていますが、 靴のあわせ方が80年代とは違います。 しかもこれが単純なものではなくて、 ドレスにはスニーカーやハイキングブーツを合わせて、 パンツにはヒール靴を合わせるという、 フェミニンとマスキュリンのミックスというのも今のポイントなんで、 そこをはずさないほうが今風に見えるわけです。 現場ではきかえるための靴という新しいカテゴリーを作ると、 結構変わった靴が買えたりして、 それはそれで面白いです。 靴の面白さというのがわかります。 今、ジャン・ジャック・ルソーの『新エロイ―ズ』を読んでいるのですが、
驚いたことに私がいっているのと同じことが書いてありました。 それは読む書物についてのところで、 多くではなく少なく、質の高いものを深く読むように、 魂がふるえるようなものだけを読むこと。 しかしそのためには審美眼が必要なので、審美眼を養うこと、 審美眼を養うには訓練が必要ですよ、ということ。 これは私がファッションに対して常日頃言っていることと同じです。 で、なぜそうなったのかというと、 私が長年にわたって西洋文化を読み説いてきたから、 同じ考えにたどりついた、ということなんですね。 『新エロイ―ズ』は、愛し合う男女の往復書簡の形式をとったお話なのですが、 要は、 いくら本当に愛し合っていたとしてもそれ以上に大切なもの、 つまり徳とか善があるよね、 だからそれを優先しないとだめですからね、 というお話なんです。 いくら愛し合っていたとしてもそれが許されない愛なら、 徳と善のほうが優先で、 成就されるのは死んでからなのです。 また、ルソーはフランス人権宣言に大きな影響を与えた人物です。 つまり、人権が何にもまして大事だということ。 私はなんで今ごろルソーなんか興味を持って読んでいるんだろうと思ったら、 近代、現代の西洋文化の根底の思想がそこにあったからなんですね。 西洋文化の末端である衣服にもその思想は流れています。 きちんと読み説けば、そこにたどりつけるのです。 ちなみに『新エロイ―ズ』は簡単です。シェイクスピアが読めれば読めます。 明日まで厳しい暑さのようで、
残暑もいいところ。 けれども、朝なんかはやはり太陽光の加減が秋を感じさせるようになり、 空の青さも増してきました。 持っている人は、どんどん秋色のものを着てしまいましょう。 ブラウンとか、ボルドーとか、 Tシャツでもいいし、ネイルでもいいし。 変えられるところから変えるといいと思います。 前に何度か書きましたけれども、
私がアパレルで働いていたとき、 何が嫌かって、あの衣食住のバランスの著しい崩れが嫌でした。 だらだらと仕事場にいるせいもあってか、 特に衣食住のうち住むことに関してどうでもいいと考えている人が多かったようです。 服にばっかりお金をかけるから、 生活環境にまでは手が回らないようでした。 では食べるものはどうだったかというと、 皆さんご存知のように、お昼は近くの大学の学食へ行ったりしていました、 世界的に有名なブランドのスタッフの方が。 私も最初は、なぜ学生生活が終わったのにまた学食に行かなきゃならないのかしらと 思いましたが、 自分も某ブラック企業に勤めるようになって、 近くのイグナシオ教会で有名な大学の学食へ通うことになりました。 だって、食べるところがないし、学食で払う以上の収入がない。 ああいうのを見たり、経験したことがあるので、 私はいつも「おしゃれでなくてもいい」と言うわけです。 服だけとか、バッグだけにお金をかけるのはばかばかしいです。 だって、意味ないです、そんなの。 おしゃれだけが生活でも、人生でもないですから。 ヴィンテージショップ、いわゆる古着屋ですけれども、
大体の場合、入ると圧倒されると思います。 量も多いし、何を選んでいいかわからないので。 だから、ヴィンテージを買うためにはそれを見分ける能力が必要となります。 それは縫製やパターン、素材のよしあしがまず第一。 それから、古いものの中から今でも着られるものは何かを見分けるために、 流行がどちらへ向かっているのか知っている必要があります。 最後に自分の好み、もしくは探しているものをきちんと把握しておく必要性です。 この3つがわかっていると、 量に圧倒されることもなく、短時間で見つけることができます。 けれども、これがわからないと迷いっぱなし、ということになるでしょう。 80年代リバイバルの今、 ヴィンテージショップは狙い目です。 勉強してから行きましょう。 例えばケイト・モスとか、
最近だったらべラ・ハディッドとか、 セレブ(この表現も好きじゃないんだけど)もヴィンテージショップ、 つまり古着屋さんへ行ってヴィンテージを買います。 好きなものはなんでも買えるほど稼いでいる人たちが なぜヴィンテージを買うのか。 それは、もう生産されていないものとか、 1点しかないもの、博物館に入るようなピースに対して、 お金さえ出せばすぐに買えるようなもの以上の価値を彼女らは見出しているからです。 新しいもの、 みんなが知っているもの、 そんなものよりも、古いけれども価値のあるものがヴィンテージにはあって、 それが自分には必要だから古着屋に探しに行きます。 例えばどこかに、 「これがケイト・モスが持っていたバッグ ●●で××円!」と出て、 みんながそれを真似してこぞって買ったら、 ケイト・モスは即座にそのバッグを持つのをやめるでしょう。 なぜならみんなも買ったから、そういうのは嫌なので。 だけれどもヴィンテージで買った1点ものは、 誰も真似して買うことができません。 欲しいのはそういうもの。 誰かが真似して買えないもの。 安いからという理由ではない買う理由が、 ヴィンテージにはあります。 10月にファッションレッスン中級を開催いたします。
日程はまだ決めていませんが、10月中旬を予定しています。 中級は『21世紀のチープシック』を踏まえた上での内容ですが、 実物を見ながら、いい縫製とか、いいパターンとは何かの説明と、 身体にきく自分に合う服の選び方など、 実際にお越しいただかないとわからない内容になっています。 次回から場所が変更になりまして、狭くなりますので、 募集人数が5名程度になる予定です。 募集開始は1カ月前となりますので、 ご希望の方は随時チェックをお願いいたします。 以上、よろしくお願いいたします。 |
AuthorNaoko Kobayashi Archives
May 2023
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