麻とヴェルヴェット
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プレフォールが始まっていて、
ブランドによってはランウェイで発表するところもあります。 ミュウミュウ、ヴァレンティノ、シャネルはそうでした。 シャネルはエジプトがテーマで、きんきらきんの面白いルックで、 本当に買う人いるのかな?と思いましたけれども、 シャネルのショーを何度見ても思うのは、 シャネルのバッグって、シャネルの服にぴったり合うようにデザインされているな、 ということです。 あれは崩すことができません。 シャネルのバッグにはシャネルのジャケットやドレス、コートが一番ぴったり。 服にぴったりのバッグのところとそうでないところ、 どうやって見分けたらいいかなと考えたら、 1つの答えが導き出せました。 もともとバッグを作る会社だったところは、 そこのブランドの服でなくても合うようにデザインされているものもちゃんとあります。 グッチ、プラダ、エルメス、ボッテガベネタなんかはそうです。 だけれども、服が先で後からバッグのところ、 シャネル、サンローラン、ジバンシー、セリーヌなんていうのは、 やはりバッグは服に合うようにデザインされていますから、 一番合うのはそのブランドの服になっています。 ハイブランドのバッグを買うときは、 そういうことも考えるといいと思います。 シャネルのバッグにはシャネルジャケットやコートですよ。 ぴったりのサイズも、
似合う色も、 似合うシルエットも、 全部変化します。 なぜなら人間は年老いていくから。 永遠の28歳とかない。 同時に、流行の色もシルエットも変化します。 なぜならトレンドとはシルエットと色の変化であり、 それがファッションということなので。 おしゃれに見えるためには、 この2つの変化に対しての対応がまず必要。 これは時間軸の話。 同時に、空間軸もある。 Tシャツとジーンズが似合うシャルロットが、 いつでもどこでもそのスタイルで行ったら、 もうおしゃれな人とは言われません。 それは空間軸を無視しているから。 移動すると、装置も違うし、会う人も違うので、 ぴったりフィットするものが変わってきます。 ここまでは二次元の話。 最後に三次元になると、 意図が入る。 あなたはそのとき、その場所において何を達成したいのか。 これは絶対あるはず。 楽しい思いをしたいというなら、それもそうです。 どんなに似合う色、シルエットを着ていても、 意図が達成されなかったら失敗。 そういうことを全部できるようになるのが、 大人になるということではないでしょうか。 雑誌の表紙なんかによく、シンプルなデザインが一番、定番が一番いいとか、
書いてありますけれども、 それじゃあ、デザイナーなんていらないね。 デザインの学校も必要ないですね。 もし本当にそうなら、 新しいデザインのバッグも必要ないですよね。 セリーヌのバッグがどうとか、言うことないですよね。 なんかよくわからない定番でシンプルなデザインのもの志向があるけれども、 たぶんそういうことを言っている人も、 老年はそんなシンプルなTシャツとジーンズだけでは生きていけないのではないでしょうか。 実際、70歳過ぎて、ジーンズとTシャツだけ、タイトスカートと白シャツだけの人とか、 見ないですから。 お年寄りの服がシンプルなデザインの定番ものだけ、なんてことはほぼないです。 それはたぶん、肉体が衰えるからだと思うけれども、 それは古今東西の歴史を見ても明らか。 貧乏で買えない人は別だけれども。 想像してみればわかります。 実家に帰って、70歳過ぎたご両親がともに白いTシャツとジーンズだったらどうかって。 2人でね。 たぶん、やめてほしいって思うと思います。 皆さま、先日ご紹介したクレア・マッカ―デルの『わたしの服の見つけかた』は
読んでいただけたかしら? さて、あの本にもあるように、西洋ではこういうときはあの服を、 ああいうときにはこの服をというように、 結構ルールが厳しく決まっています。 今でこそ緩くなったでしょうし、 日本なんかではそんなルールは完全無視なので、関係ないでしょうけれども、 西洋諸国にはまだそのルールの名残がありますよ。 そこで思い出すのが、私が20代に初めて行ったロンドン旅行。 英語の専門学校を出た友達とその妹と一緒に行ったんだけれども、 その人がとても汚い格好でした。 ストーンズのファンで、革ジャンとドクターマーチンみたいな感じで、 あーあ、と思ったけれども、そのままホテルへ行ったら、 案の定、とっても冷たい対応で、初めてロンドンに来たのにがっくりきたのでした。 たぶんあれじゃあ、不法で労働に来た人に思われたんだと思います。 けれども途中で、そうだ私は別行動したらいいんだと気づいて、 別行動することを提案したら、快く受け入れてくれて、 一人でロンドンの街へ出たら、あらまあ、それまでと全然違うじゃないの。 私はヘルムート・ラングのウールの黒いコートに黒いブーツ、黒帽子、黒パンツで、 セーターだけ赤いのを着ていたんだけれども、 それでカフェへ行っても、店へ行っても、みんな、にこにこ対応してくれました。 日本だってそうだけれども、 西洋諸国だって、外国人を見たら、着ているもので判断するでしょう。 それはその場に対する敬意でもあるし。 この冬、西洋諸国へ旅行する方がいらっしゃったら、 その点を考えて旅行するといいと思います。 朝から、紹介していただいたミニマリストの方のブログを読んで、
なるほどと考えていました。 多くの人にとって、買い物はストレス解消のためにするのですね、と。 私の場合、買い物がストレスなので、 なるべく買い物回避します。 けっこうぎりぎりまでしないので、 冷蔵庫もすぐすかすかになり、 食べるものがない状態になります。 洋服を買いに行くのも、それがどんなに好きなものであっても結構疲れるので、 あんまり見にも行かないのですが、 さすがにファッションでお金もらってるのにそれはないだろうということで、 3カ月に1度はどこかへ行くようにしています、見るだけでも。 私の姪なんかも、買い物が大嫌いで、 スーパーさえ行きません。 働くようになったらどうするのだろうかと思うほど買わないです。 買い物がストレスなので、旅行もストレスになるのですが、 その話をしたら、じゃあアジアを旅行すればいいというアドバイスを 友達がしてくれました。 アジアだろうが、ヨーロッパだろうが、買い物することになるので関係ありません。 彼女は金額の問題かと思ったらしいですが、 そうではなくて、買い物という行為がストレスなんです。 買わなきゃいけないものも、もう今日はいいやとかいって、 すぐ帰ってきちゃうぐらい。 きっとわからない人にはわからないだろうな、このストレス。 いろいろな人がいるということですね。 ファッションレッスンを受けて、1年以上たった方の感想をいただきました。
的確なとてもいい表現なので許可を得て掲載します。 「ファッションレッスンで学んだことが普通になってきますと、 逆にファッションなんか重要じゃないということが普通になってきて、 それよりも他にやりたいこととか学びたいことが沢山あって、 どう思われるかとか見た目とか、極端に変でなければどうでもよくなってきて、 でもお洒落は楽しいという不思議な状況です。 ファッションレッスンを受けたのに、なんか逆説的ですよね。」 そうそう、目指す境地はこの感じです! 本当、おしゃれなんて、ささいなことで、 それにあまりにも時間をエネルギーをかけすぎなんです、多くの人が。 でも習得してしまえば、そんなにエネルギーをかけなくてもいいし、 気にしなくてもいい。 そうやってリラックスできるようになると楽しめるということです。 レッスンを受けていなくても、 本に書いてあることを実行していけば、 多くの人がこんなふうになると思います。 (もちろん例外はあります) おしゃれとかファッションとかが、 苦痛なもの、人生や生命をおびやかすものにならないように、 早いところ学んでしまうのがいいと、 私は考えています。 全体的な傾向として、民主的でない国のファッションは世界的には認められません。
どんなにお金があったとしても、 洋服の根本的な考えの中に民主的なことと、個人主義の側面があるので、 独裁手法による政治がおこなわれている国家のファッションは見向きもされないです。 そういう国出身のデザイナーが認められたかったら、 アメリカやヨーロッパへ行って活動する以外ないでしょう。 もちろん奴隷労働が認められるわけがありません。 おととい、
アパレルメーカーとそうでないところがあるということを書きました。 メーカーが生産のみならず、企画までも外注するようになってきたのが、 2000年以降でしょう。 するとどうなるかわかります? 結果はもう出ていますよね。 皆さんがおっしゃる、「同じものばっかり売っている」状態です。 しかも技術の継承がなされていないので、 テクニックなしの服ばっかりですよね。 ウエストゴムのギャザースカートとTシャツみたいな。 あと、これも皆さんがおっしゃっているんだけど、 普通のシャツやブラウスを買うと、 襟が抜けて、脱げそうになってしまう服が多いですよね、最近。 あれもそうです。 あれ、技術がないからです。 目先の利益を優先して、 技術者を育てないと今みたいになるということです。 未来はないでしょうね。 . 久々に用事があって辻堂に出かけたので、
ついでだからということで、ショッピングモールを市場調査。 あら、知らないまにこんなところにディーン&デルーカがとか、 いろいろ新しくなっていたのですけれども、 全体の傾向が明らかに変わりました。 何かというと、アウトドアにシフトです。 ノースフェイスも大きいし、最近のお気に入りのヘリーハンセンも入ったし、 ビームス、シップス、アローズ、ジャーナルスタンダードみたいなセレクトショップもたくさんあるんだけれど、全体的にアウトドアウエアが多い感じにシフト。 私がアウトドアとスポーツウエアがいいよと書いてから何年たったでしょうか。 もう結構たったと思うけれども、やっと店舗もそうなりました。 来年の夏は、暑いかどうかわかりませんが、 きっとアウトドアウエアかスポーツウエアで乗り切ろう、 となるでしょう。 しまむらが、取引先の企業に外国人実習生の人権侵害がないように通知したそうです。
しまむらというのはアパレルメーカーではありません。 仕入れて売るところ。 一方、アパレルメーカーというのはメーカーとつくので、 自分たちの工場で作るのが基本。 デザイン部門と生産部門があるところです。 自分の会社でデザインして、自分の会社の工場が作ります。 ここがどんどん下請けに出すようになったのが90年代なんだと思います。 商社の営業がどんどんやってきて、下請けに出すように促していました。 で、今よく問題になっているファストファッションは、 デザイン部門ぐらいはあるだろうけれども、生産部門はないところ。 流通のネットワークだけが大きいところです。 ここは自社生産しないので、すべて外注で生産です。 しまむらは、仕入先の工場の外注先について通知したので、 これはとても異例なことです。なぜなら自分たちが直接取引しているところではないから。 (本当は仕入れませんぐらい言ってほしいけど) 日本製といえども、気をつけないと、 奴隷労働で作られたものも混ざっています。 売れ残って在庫処分で安いものはいいですけど、 最初から安いのは、理由があるということです。 |
AuthorNaoko Kobayashi Archives
April 2024
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